主なアルミ鋳物の製品例
弊社にて主に鋳造しているアルミ鋳物製品の一例となります。
以下リストにないものでもお気軽にご相談ください。
産業機械・精密機器
電気電子機器用の機構部品
四輪自動車・二輪自動車用の関連部品
医療機器・理美容関連機器の部品
照明・ディスプレイ関連機器の部品
食品関連機器用の部品
船舶・産業車両用の部品
公共施設・公園関連設備の部品
道路・鉄道関連の部材・部品
工具用・土木関連機器の素材
対応可能なアルミ鋳造方法
適切な鋳造法を選択することでアルミ鋳物の製造における「コスト削減」「納期短縮」に繋がります。
弊社ではお客様のご要望を伺い、最適な鋳造法のご提案をいたします。
鋳型による分類
▼砂型鋳造法
Vプロセス
生型法
炭酸ガス型法
シェルモールド法
コールド・ボックス法
自硬性鋳型法
▼金型鋳造法
重力金型鋳造法
低圧鋳造法ー差圧鋳造法
高圧鋳造法(溶湯鍛造法)
ダイカスト法
加圧別による分類
▼造形技術
◆Vプロセス鋳造
特殊なプラスチックフィルムを鋳型に使用します。
Vプロセス鋳造の特徴・メリット
高精度な鋳物: フィルムが砂に密着することで、より精密な鋳型が作れるため、寸法精度が高く、複雑な形状の鋳物も製造可能です。
– 美しい鋳肌: 粘結剤を使用しないため、鋳肌が滑らかで美しく仕上がります。
– 環境への配慮: 粘結剤を使用しないため、産業廃棄物が少なく、環境に優しい鋳造方法です。
– 薄肉化: 従来の砂型鋳造よりも薄肉化が可能で、軽量化に貢献します。
Vプロセス鋳造の用途
Vプロセス鋳造は、自動車部品、航空機部品、産業機械部品など、様々な分野で利用されています。特に、大型で複雑な形状の鋳物の製造に適しています。
◆砂型鋳造
古くから行われている鋳造方法の一つで、砂を型として金属を鋳造する方法です。アルミ鋳物においても、砂型鋳造は広く利用されています。
– 造型: 木型や金型を用いて、鋳造する製品の形状を反転させた砂型を作ります。
砂型鋳造の特徴
– 複雑な形状に対応可能: 砂型は自由度が高いため、複雑な形状の鋳物を作ることができます。
– 大型の鋳物に対応可能: 砂型は大型化が容易なため、大きな鋳物を作ることができます。
– コストが比較的安い: 金型鋳造に比べて、砂型鋳造は初期費用が安く済みます。
砂型鋳造の用途
アルミ鋳物の砂型鋳造は、自動車部品、航空機部品、産業機械部品など、様々な分野で利用されています。特に、試作品や少量生産品、大型の鋳物の製造に適しています。
砂型鋳造の種類
砂型鋳造には、いくつか種類があります。
– 生砂型鋳造: 湿った砂を型にする方法です。
– 乾砂型鋳造: 湿った砂を乾燥させてから型にする方法です。
– 化学砂型鋳造: 化学薬品で砂を固めて型にする方法です。
アルミ鋳物の砂型鋳造のメリット
1. 設計の自由度が高い
2. 初期投資が比較的安い
3. 複雑な形状の鋳造に適している
4. 大型の鋳造に適している
アルミ鋳物の砂型鋳造のデメリット
1. 寸法精度が低い
2. 表面粗さが大きい
3. 大量生産には向かない
▼注湯技術
◆低圧鋳造法とは
低圧鋳造法は、金型に溶融金属を 低圧でゆっくりと注入する 鋳造方法です。
密閉された炉の中に金型をセットし、炉内の圧力を上げて溶湯を金型に押し上げます。
◆差圧鋳造法とは
差圧鋳造法は、低圧鋳造法の一種で、金型の上部と下部に圧力差をつける ことで、溶湯を金型に充填する方法です。
具体的には、金型の上部を大気圧に保ち、下部に圧力をかけることで、溶湯を下から上に押し上げます。
差圧鋳造法のメリット
溶湯の充填速度を制御しやすい: 圧力差を調整することで、溶湯の充填速度を細かく制御できます。これにより、鋳巣やガス巻き込みなどの欠陥を抑制できます。
薄肉・複雑形状の鋳造に適している: 溶湯をゆっくりと充填するため、薄肉部や複雑な形状にも溶湯が行き渡りやすく、高品質な鋳物が得られます。
鋳造品の品質向上: 溶湯の酸化やガス巻き込みを抑制し、緻密で均一な組織の鋳物が得られます。
差圧鋳造法のデメリット
設備コストが高い: 低圧鋳造法に比べて、設備コストが高くなります。
大型の鋳物には不向き: 金型の上部を大気圧に保つ必要があるため、大型の鋳物には適用が難しい場合があります。
差圧鋳造法の用途
差圧鋳造法は、自動車部品、航空機部品、電子部品など、高品質・高精度が求められる鋳物の製造に利用されています。特に、薄肉・複雑形状のアルミ鋳物の製造に適しています。.
◆重力鋳造 (グラビティキャスティング)
重力鋳造は、溶かしたアルミニウムを金型に重力だけで流し込む鋳造方法です。「重力金型鋳造」や「グラビティ鋳造」とも呼ばれます。 他の鋳造法と比べて、比較的シンプルな設備で鋳造できるのが特徴です。
重力鋳造のメリット
複雑な形状に対応できる: ダイカストほどではないものの、複雑な形状の鋳物を作ることができます。
気密性が高い: 溶湯がゆっくりと流れるため、鋳巣ができにくく、気密性の高い鋳物が得られます。
– 導入コストが低い: ダイカストに比べて、金型費用や設備費用が安く済みます。
– 大型の鋳物に対応できる: ダイカストでは難しい大型の鋳物も製造できます。
重力鋳造のデメリット
薄肉化が難しい: 溶湯の流れが遅いため、薄肉化が難しい傾向があります。
生産性が低い: ダイカストに比べて、生産性が低くなります。
寸法精度がやや劣る: ダイカストに比べて、寸法精度がやや劣ります。
重力鋳造の用途
自動車部品、バイク部品、産業機械部品など、中型から大型の鋳物の製造に用いられています。特に、強度と気密性が求められる部品に適しています。
◆ダイカスト
ダイカストは、溶かしたアルミニウムを金型に高速・高圧で注入する鋳造方法です。 金型に圧力をかけることで、溶湯を金型の隅々まで行き渡らせ、短時間で冷却・凝固させます。
ダイカストのメリット
寸法精度が高い: 高圧で溶湯を注入するため、寸法精度が高く、精密な鋳物が得られます。
薄肉化が可能: 薄肉で複雑な形状の鋳物を作ることができます。
表面がきれい: 鋳肌が滑らかで美しい仕上がりになります。
– 大量生産に適している: サイクルタイムが短いため、大量生産に適しています。
ダイカストのデメリット
– 初期投資が高い: 金型費用や設備費用が高額になります。
– 大型の鋳物には不向き: 大型になるほど金型製作が難しく、高圧をかけるための設備も大規模になるため、大型の鋳物には不向きです。
– 複雑な形状には対応できない場合がある: アンダーカット形状など、金型から製品を取り出すのが難しい形状には対応できない場合があります。
ダイカストの用途
自動車部品、家電製品、OA機器部品など、小型で精密な鋳物の大量生産に用いられています。
▼凝固規制技術
◆低圧鋳造
– 圧力制御による凝固収縮の抑制: 低圧鋳造では、金型キャビティ内に一定の圧力をかけることで、凝固時の収縮を抑制し、引け巣の発生を抑えます。
– 溶湯の充填速度制御: 圧力と湯口の設計により、溶湯の充填速度を制御し、乱流や空気の巻き込みを抑制することで、鋳巣の発生を抑えます。
– 金型温度制御: 金型温度を適切に制御することで、凝固速度を調整し、結晶粒の微細化や偏析の抑制を図ります。
◆重力鋳造
– 湯口設計: 溶湯の流れを制御し、鋳巣や巻き込みを抑制するために、湯口の形状、大きさ、位置を最適化します。
– チル: 凝固を促進させるために、金型の一部に冷却効果の高い金属(チル)を埋め込み、特定部位の凝固速度を制御します。
– 押湯: 凝固収縮による引け巣を補償するために、溶湯を供給する押湯を適切に設置し、凝固過程における溶湯の供給を確保します。
◆ダイカスト
– 金型温度制御: 高速・高圧で溶湯を充填するダイカストでは、金型温度の制御が重要です。金型温度を適切に保つことで、凝固速度を制御し、寸法精度や鋳肌の品質を向上させます。
– 冷却水制御: 金型内部に冷却水を循環させることで、金型温度を精密に制御し、凝固速度を調整します。
– 金型構造の最適化: 金型内の溶湯の流れをシミュレーションなどで解析し、金型の構造を最適化することで、鋳巣やガス巻き込みを抑制します。
◆高圧鋳造
– 高圧による緻密化: 高圧鋳造では、ダイカストよりもさらに高い圧力をかけることで、溶湯を金型の隅々まで充填し、緻密な組織を得ます。これにより、機械的性質の向上と欠陥の抑制を図ります。
– 凝固速度の制御: 高圧下での凝固速度を制御することで、結晶粒の微細化や偏析の抑制を図ります。
– 溶湯の清浄度管理: 高圧鋳造では、溶湯中の不純物が鋳物の品質に大きく影響するため、溶湯の清浄度管理が重要です。
◆半溶解・半凝固鋳造法 (レオキャスト)
– 半溶解状態の制御: 半溶解・半凝固鋳造法では、溶湯を半溶解状態(固体と液体が混在した状態)で金型に充填します。この半溶解状態を精密に制御することで、組織の均一化と機械的性質の向上を図ります。
– 撹拌: 溶湯を撹拌することで、温度分布や組織の均一化を促進します。
– 凝固速度の制御: 半溶解状態からの凝固速度を制御することで、結晶粒の微細化や偏析の抑制を図ります。
共通する凝固規制技術
上記の他に、複数の鋳造法に共通して用いられる凝固規制技術として、以下のようなものがあります。
– 接種処理: 溶湯に凝固核を添加することで、結晶粒の微細化を促進し、機械的性質を向上させます。
– 電磁撹拌: 電磁力によって溶湯を撹拌し、温度分布や組織の均一化を図ります。
– コンピュータシミュレーション: 凝固過程をコンピュータでシミュレーションすることで、凝固状態を予測し、最適な凝固条件を導き出すことができます。
その他
▼消失模型鋳型法
消失模型鋳型法(ロストフォーム鋳造法)は、発泡スチロールなどの発泡プラスチックで作った模型を鋳型に埋め込み、溶湯を注入することで模型を消失させ、その空間に溶湯を充填して鋳物を作る方法です。
消失模型鋳型法の工程
– 模型作成: 発泡スチロールで鋳造したい形状の模型を製作します。
– 塗型: 模型の表面に耐火性塗料を塗布します。これは、溶湯の熱から模型を保護し、鋳物の表面を滑らかに仕上げるためです。
– 造型: 塗型した模型を鋳物砂で覆い、鋳型を作ります。この際、振動などを加えて砂を密着させます。
– 鋳込み: 溶かしたアルミニウムを鋳型に流し込みます。溶湯の熱で発泡スチロール製の模型は消失し、溶湯がその空間を埋めていきます。
– 冷却: 溶湯が冷えて固まるまで待ちます。
– 脱型: 固まった鋳物を砂型から取り出します。
– 仕上げ: 鋳物のバリや表面の凹凸を研磨したり、塗装したりして仕上げます。
消失模型鋳型法の特徴
– 中子不要: 消失模型鋳型法では、中子を使わずに複雑な形状の鋳物を作ることができます。これは、模型自体が消失して空洞を形成するためです。
– 設計自由度が高い: 複雑な形状や中空形状など、従来の砂型鋳造では難しかった形状の鋳物を作ることができます。
– 寸法精度が高い: 模型の形状がそのまま鋳物に反映されるため、寸法精度が高い鋳物が得られます。
– 鋳肌が美しい: 鋳肌が滑らかで美しい仕上がりになります。
– 環境にやさしい: 砂型鋳造に比べて、廃棄物が少ないという利点があります。
消失模型鋳型法の用途
消失模型鋳型法は、自動車部品、航空機部品、産業機械部品など、様々な分野で利用されています。特に、以下のような用途に適しています。
– 複雑な形状の鋳物
– 薄肉・軽量な鋳物
– 高精度な鋳物
消失模型鋳型法のメリット
– 複雑な形状の鋳物が製作可能
– 中子不要
– 寸法精度が高い
– 鋳肌が美しい
– 環境負荷が低い
消失模型鋳型法のデメリット
– 模型製作にコストがかかる
– 発泡スチロールの燃焼ガスによる鋳巣発生のリスク
– 大型鋳物の製作が難しい
▼遠心鋳造法
遠心鋳造法は、回転する鋳型に溶融金属を流し込み、遠心力を利用して鋳型に充填する鋳造方法です。 溶融金属は遠心力によって鋳型の内壁に押し付けられ、凝固することで中空の円筒形や円筒に近い形状の鋳物が得られます。
遠心鋳造法の工程
– 鋳型準備: 鋳型は、金属製または砂型などが用いられます。金属製の鋳型は、繰り返し使用できるため、大量生産に適しています。
– 溶解: アルミニウム合金を溶解炉で溶かします。
– 鋳込み: 回転する鋳型に溶融アルミニウムを流し込みます。
– 凝固: 遠心力によって溶湯が鋳型の内壁に押し付けられ、冷却・凝固します。
– 取り出し: 鋳型を停止させ、凝固した鋳物を鋳型から取り出します。
遠心鋳造法の特徴
– 緻密な組織: 遠心力によって溶湯中のガスや不純物が排出され、緻密な組織の鋳物が得られます。
– 高強度・高品質: 緻密な組織により、機械的強度や耐圧性に優れた高品質な鋳物が得られます。
– 中子不要: 中空形状の鋳物を中子なしで製造できます。
– 薄肉化: 遠心力により、薄肉形状の鋳造が可能です。
遠心鋳造法のメリット
– 高強度・高品質な鋳物が得られる
– 複雑な中空形状の鋳物が製作可能
– 中子不要
– 薄肉化が可能
– 自動化による量産性向上
遠心鋳造法のデメリット
– 円筒形やそれに近い形状に限定される
– 大型鋳物の製造には大規模な設備が必要
– 偏析が生じやすい
遠心鋳造法の用途
遠心鋳造法は、主に以下のような用途に用いられます。
– パイプや管: 水道管、ガス管、油圧配管など
– シリンダーライナー: エンジンなどのシリンダー内壁
– 軸受: 各種機械の回転軸を支える部品
– フライホイール: エンジンの回転を安定させる部品
– ギア: 動力を伝達する歯車
遠心鋳造法の種類
– 水平遠心鋳造法: 鋳型を水平に回転させる方法。
– 垂直遠心鋳造法: 鋳型を垂直に回転させる方法。
アルミ鋳物の鋳造方法による比較表
一般的な鋳造法の比較表となります。
制作したいアルミ鋳物の特徴に応じて鋳造方法を使い分けが可能です。
鋳造法 | 砂型 | 金型 | ダイカスト |
---|---|---|---|
寸法精度・生地の細かさ | ★★☆ | ★★☆ | ★★★ |
設計の自由度 | ★★★ | ★★☆ | ★☆☆ |
鋳物の大きさ | ★★★ | ★★☆ | ★☆☆ |
鋳物の強さ | ★★☆ | ★★★ | ★★☆ |
鋳物の薄さ | ★★☆ | ★☆☆ | ★★★ |
型費・設備費 | 少額 | 中位 | 高額 |
最適な生産ロット数 | 少数 | 中位 | 多数 |