アルミ鋳造、鋳物、金型を一貫請負

カーボンニュートラルとアルミ産業:CO₂削減に向けた技術革新と調達戦略

脱炭素社会の実現に向け、製造業におけるサプライチェーン全体のCO₂排出量削減(スコープ3)への要請は、かつてないほど高まっています。特に、自動車や建材、電子機器の主要素材である「アルミニウム」は、その製造過程で多大な電力を消費することから「電気の缶詰」とも呼ばれ、環境負荷の低減が喫緊の課題とされています。しかし、この課題は裏を返せば、適切な調達戦略と技術理解によって、企業の競争力を飛躍的に高める好機でもあります。 本記事では、アルミニウム産業におけるカーボンニュートラル(炭素中立)に向けた最新の技術革新、リサイクルの重要性、そして海外調達における戦略的視点について詳しく解説します。大和軽合金ベトナムが拠点を置くベトナムのエネルギー事情も交えながら、日本の製造業が直面する「環境対応」と「コスト競争力」の両立に向けた具体的な解決策を提示します。この記事を通じて、貴社のサステナビリティ戦略を加速させるための知見を提供します。

アルミニウム産業が直面する「脱炭素」の現在地

「電気の缶詰」からの脱却:CO₂排出の現状

アルミニウムは軽量で加工性が高く、リサイクル性に優れた素材ですが、ボーキサイトから新地金(プライマリーアルミ)を製錬する工程では莫大な電力を消費します。国際アルミニウム協会(IAI)のデータによれば、アルミニウム産業全体からのCO₂排出量は年間約11億トンに達し、これは世界の総排出量の約2%を占めています。 特に、石炭火力発電に依存した製錬所で作られた新地金の場合、アルミニウム1トンあたり平均で約16.6トンのCO₂を排出すると言われています。一方で、水力発電などの再生可能エネルギーを利用した場合は4トン以下に抑えられるケースもあり、エネルギー源の違いが環境負荷に直結する構造となっています。

日本国内においては、電力コストの高騰によりマイニング(製錬)事業は事実上撤退しており、新地金のほぼ100%を海外からの輸入に依存しています。そのため、日本の製造業がカーボンニュートラルを達成するためには、単に素材を購入するだけでなく、「どのようなエネルギーで作られたアルミか」「リサイクル材がどれだけ含まれているか」というトレーサビリティ(追跡可能性)の確保が不可欠となっているのです。

サプライチェーン全体に求められる「スコープ3」対応

現在、プライム市場上場企業を中心に、自社の排出(スコープ1, 2)だけでなく、原材料の調達から廃棄に至るまでのサプライチェーン全体(スコープ3)での排出削減が求められています。 自動車業界を例に挙げると、EV(電気自動車)化に伴い、バッテリー重量を相殺するための車体軽量化ニーズが急増しています。一台あたりのアルミ使用量は、2020年の約180kgから2030年には250kg近くまで増加すると予測されています。しかし、素材製造時のCO₂排出量が多ければ、走行時の排出ゼロ効果(Tank to Wheel)が相殺されてしまいます(Life Cycle Assessmentの観点)。 したがって、調達部門には、コストと品質(QCD)に加え、環境性能(Environment)を加味した「QCDE」でのサプライヤー選定が求められるようになっています。

グリーンアルミニウムを実現する技術革新

製錬プロセスの革命:不活性陽極(Inert Anode)技術

従来のアルミニウム製錬(ホール・エルー法)では、炭素素材の陽極(アノード)を使用するため、電気分解の過程で酸素と炭素が反応し、必然的にCO₂が発生していました。これに対し、現在世界で実用化が進んでいるのが「不活性陽極(Inert Anode)」技術です。 この技術は、陽極にセラミックスや金属合金などの炭素を含まない素材を使用することで、CO₂の代わりに純粋な「酸素」のみを排出します。大手アルミメーカーのAlcoaとRio Tintoの合弁事業であるELYSISなどが開発を主導しており、実用化されれば製錬プロセスからの直接排出をほぼゼロにすることが可能です。2024年以降、商業規模での生産が徐々に開始される見込みであり、調達担当者はこの「真のグリーンアルミ」の供給動向を注視する必要があります。

熱エネルギーの転換:水素・アンモニア燃焼

溶解炉や保持炉、熱処理工程においても、従来の重油や天然ガス(LNG)から、燃焼時にCO₂を出さない水素やアンモニアへの燃料転換が進められています。 日本アルミニウム協会が策定した「アルミニウム産業のカーボンニュートラル2050」ビジョンでは、2050年までに製造工程の熱源を脱炭素化する目標が掲げられています。例えば、工業炉において水素バーナーを使用する技術実証が進んでおり、これによりダイカスト(鋳造)工程における炭素排出量を大幅に削減可能です。ただし、水素供給インフラの整備やコスト低減が普及への課題となっており、当面は省エネ技術との組み合わせが現実解となります。

リサイクル技術の進化:二次合金(Secondary Alloy)の可能性

97%のエネルギー削減効果を持つ「都市鉱山」

アルミニウムの最大の特徴は、何度でも品質を落とさずに再生できる「永久資源」である点です。リサイクルアルミ(二次合金)の製造に必要なエネルギーは、新地金を製造する場合のわずか3%程度で済みます。つまり、リサイクル材を使用することで、97%ものエネルギーとCO₂排出を削減できるのです。 現在、日本国内のアルミ需要の約65%はリサイクル材で賄われていますが、展伸材(圧延・押出)から鋳物材への「カスケードリサイクル(品質の低い用途への再利用)」が主流です。今後は、展伸材から展伸材へ戻す「水平リサイクル」や、鋳物材においてもより高品質な再生が求められます。

選別技術の高度化:LIBSとAI選別

リサイクル率向上の障壁となっているのが、スクラップに含まれる不純物(鉄、銅、亜鉛など)の混入です。これを除去・管理するために、最新の選別技術が導入されています。 特に注目されているのが「レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)」です。これは、スクラップ片にレーザーを照射し、発生したプラズマの発光スペクトルを解析することで、瞬時に合金種を特定・選別する技術です。さらに、AI(人工知能)画像認識を組み合わせることで、従来の比重選別では難しかった同程度の重さの合金選別が可能になりつつあります。これにより、不純物の少ない高品質なリサイクル原料(ポストコンシューマ材)の確保が容易になり、Daiwa Aluminum Vietnamのような鋳造メーカーが高品質かつ低炭素な製品を供給する基盤となります。

大和軽合金ベトナムが提案する「海外調達×環境対応」の解

ベトナムのエネルギー転換(PDP8)と調達メリット

海外調達を検討する際、現地のエネルギー政策(エネルギーミックス)は極めて重要な要素です。ベトナム政府は2023年に承認した「第8次国家電力開発基本計画(PDP8)」において、2030年以降、石炭火力発電の新規開発を停止し、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力)の比率を大幅に高める方針を打ち出しています。 これは、ベトナムで製造されるアルミ鋳造部品の「カーボンフットプリント」が、将来的により低減していくことを意味します。中国など石炭依存度が高い地域と比較した場合、ベトナムでの調達は、中長期的な脱炭素戦略において有利に働く可能性があります。

コストと環境の最適バランス

日本の製造業にとって、環境対応は重要ですが、コスト競争力を犠牲にはできません。Daiwa Aluminum Vietnamでは、日本水準の厳格な品質管理体制(ISO 9001/14001等)を維持しつつ、ベトナムのコストメリットを活かした生産を行っています。 さらに、リサイクル地金の積極的な活用や、製造プロセスの効率化(歩留まり向上、不良率低減によるエネルギーロス削減)を推進しています。ベトナム現地での調達・加工・組立の一貫体制を構築することで、日本への輸送に伴うロジスティクスCO₂の最適化も含めたトータル提案が可能です。

まとめ

アルミニウム産業におけるカーボンニュートラルへの取り組みは、単なる環境活動ではなく、企業の存続をかけた技術競争へと変貌しています。新地金製錬における不活性陽極技術や水素燃焼といった「技術革新」と、97%の省エネ効果を持つ「リサイクル」の高度化が、CO₂削減の両輪となります。

日本の製造業、特に調達・購買責任者様にとっては、以下の3点が今後のアクションプランとして重要です。

  1. サプライヤーの電力源・原料の確認: 調達するアルミ製品が、どのようなエネルギーで、どの程度のリサイクル材を使用して作られているかを把握する。
  2. 技術動向の注視: LIBS選別やグリーン地金の市場投入状況を見極め、早期に試験採用を検討する。
  3. 戦略的な海外拠点の活用: 再生可能エネルギー導入が進むベトナムのような地域を活用し、Daiwa Aluminum Vietnamのような「品質」と「環境」を両立できるパートナーとの連携を強化する。

脱炭素とコストダウンの両立は容易ではありませんが、正しい知識とパートナーシップにより実現可能です。アルミ鋳物の海外調達や、環境配慮型製品への切り替えをご検討の際は、ぜひ大和軽合金ベトナムにご相談ください。

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