アルミ鋳造、鋳物、金型を一貫請負

自動車部品のアルミ鋳物事例:軽量化と高強度化を実現

地球温暖化対策や燃費規制の強化を背景に、自動車産業では軽量化高強度化の両立が喫緊の課題となっています。車両の軽量化は、燃費向上、CO2排出量削減に貢献するだけでなく、運動性能や操縦安定性の向上にも繋がります。また、高強度化は、衝突安全性や耐久性を高める上で不可欠です。

これらの要求を満たす材料として、アルミ鋳物が注目されています。アルミ鋳物は、鉄や鋼に比べて約1/3の重量でありながら、高い強度優れた成形性を兼ね備えています。そのため、エンジンブロック、シリンダーヘッド、トランスミッションケースなど、様々な自動車部品に利用されています。

本記事では、アルミ鋳物を活用した自動車部品の軽量化高強度化成功事例を紹介します。各事例について、具体的な軽量化率や強度向上率、採用されたアルミ合金の種類、製造方法、技術的な課題などを詳しく解説します。これらの事例を通して、アルミ鋳物が自動車の進化にどのように貢献しているか、その可能性を探ります。

アルミ鋳物自動車部品の基礎知識

自動車部品において、アルミ鋳物は重要な役割を担っています。その特性は、軽量化、高強度化、耐食性、そしてリサイクル性といった点で、自動車産業のニーズに合致しています。

自動車部品におけるアルミ鋳物の役割と重要性

自動車の軽量化は、燃費向上、CO2排出量削減に不可欠な要素です。アルミ鋳物は、鉄や鋼に比べて大幅に軽量であり、車体全体の軽量化に大きく貢献します。さらに、近年開発された高強度アルミ合金は、従来の材料と同等以上の強度を持ちながら軽量であるため、安全性を損なわずに軽量化を実現できます。

また、アルミは耐食性に優れており、錆びにくいため、自動車部品の寿命を延ばすことができます。さらに、アルミはリサイクルしやすい素材であり、環境負荷低減にも貢献します。

これらの特性から、アルミ鋳物は、燃費向上、CO2排出削減、運動性能向上、そして環境負荷低減といった、自動車産業が抱える課題解決に貢献する素材として、ますます重要性を増しています。

アルミ鋳物を使用するメリット

アルミ鋳物を使用する主なメリットは以下の通りです。

  • 軽量化: アルミニウムは鉄の約1/3の重量であり、自動車部品を軽量化することで、燃費向上や運動性能向上に貢献します。例えば、エンジン部品をアルミ鋳物にすることで、20-30%の軽量化が可能です。
  • 高強度化: 高強度アルミ合金を使用することで、軽量化と同時に高い強度を確保できます。これにより、衝突安全性や耐久性を向上させることができます。
  • コスト削減: アルミ鋳物は、製造工程の効率化や材料費の削減に繋がり、コスト削減に貢献します。また、軽量化による燃費向上も、燃料費の削減に繋がります。

アルミ鋳物の種類と自動車部品への適用例

アルミ鋳物には、主に以下の3つの種類があります。

  • 砂型鋳造: 砂を型材として使用する鋳造方法で、複雑な形状の部品製造に適しています。エンジンブロックやシリンダーヘッドなどに用いられます。
  • ダイカスト法: 金属製の金型に溶融したアルミニウムを高速・高圧で注入する鋳造方法で、高精度な部品の大量生産に適しています。トランスミッションケースやホイールなどに用いられます。
  • その他鋳造法: ロストワックス鋳造、連続鋳造などがあります。ロストワックス鋳造は、精密な形状の部品製造に、連続鋳造は、一定形状の部品の大量生産に適しています。

これらの鋳造方法を使い分けることで、様々な種類の自動車部品を効率的に製造することができます。

アルミ鋳物自動車部品の適用事例

1. ステアリング部品

従来、強度確保のために鉄が使われることが多かったステアリング部品のタイロッドエンド。近年では、高強度アルミ鍛造技術の進歩により、アルミニウムへの置き換えが進んでいます。高強度アルミ鍛造は、独自の高速恒温鍛造により強度を向上させ、鉄に匹敵する強度を実現する技術です。これにより、ステアリング部品を軽量化しつつ、必要な強度を確保することが可能になりました。世界初の量産車向けアルミタイロッドエンドとして、EVの燃費・航続距離向上に貢献しています[1]。

2. 車体構造

テスラ社は、「ギガプレス」と呼ばれる超巨大なダイカストマシンを導入し、大型の自動車部品をアルミニウムで製造することで、車体の大幅な軽量化を実現しています[2]。ダイカストは、溶融した金属を金型に圧入する鋳造方式で、自動車の軽量化に貢献する技術として注目されています。アルミニウム合金は、密度が低く、耐食性・加工性に優れているため、ダイカストの素材としてよく用いられます。ダイカスト加工では、つなぎ目のない部品を製造できるため、部品の剛性を高く保ったまま軽量化が可能です。また、複雑な形状の部品でも、金型に金属を圧入することで、高い精度で成形できます[2]。

3. 筐体

電動アシスト自転車のユニット部の筐体には、マグネシウムダイカストが採用されています[2]。強度が求められる部分には、アルミニウムに比べて比重が大きく剛性の高いマグネシウム合金が使用され、軽量化と強度保持を両立しています。

これらの事例からもわかるように、アルミニウム合金は、自動車の様々な部品に適用され、軽量化に貢献しています。特にEVにおいては、バッテリー搭載による重量増加を抑制し、航続距離を伸ばすために、アルミニウム化が重要な役割を果たします[1, 3]。

引用元:

アルミ鋳物自動車部品の技術動向

自動車部品の軽量化・高強度化を牽引するアルミ鋳物技術は、常に進化を続けています。近年、特に注目される技術動向を以下に紹介します。

高強度合金の開発

自動車部品のさらなる軽量化・高強度化を実現するため、新しい合金成分や複合材料の開発が活発です。例えば、アルミニウムにシリコンやマグネシウムなどを添加することで、強度や耐熱性を向上させた合金が開発されています。また、炭素繊維強化アルミニウム(CFRA)のような複合材料も研究されており、軽量化と高強度化の両立が期待されています。これらの高強度合金は、エンジン部品、車体構造部材など、より過酷な環境で使用される部品への適用が進んでいます。

鋳造技術の進化

鋳造技術も、より高品質で複雑な形状の部品を製造するために進化しています。3Dプリンティング技術を用いた鋳型製作は、従来の製造方法では困難だった複雑な形状の部品を、より迅速かつ低コストで製造することを可能にします。また、精密鋳造技術や薄肉化技術は、部品の軽量化や高性能化に貢献しています。さらに、スマートファクトリーやIoT(Internet of Things)を活用した品質管理システムが導入されており、鋳造工程の自動化や品質の安定化が進んでいます。

接合技術の進化

アルミ鋳物部品を自動車に組み込むためには、他の部品との接合が不可欠です。接合技術も進化しており、摩擦攪拌接合(FSW)、接着接合、異種材料接合など、様々な技術が開発されています。FSWは、摩擦熱を利用して金属を接合する方法で、高強度で気密性の高い接合を実現できます。接着接合は、接着剤を用いて部品を接合する方法で、軽量化に貢献します。異種材料接合は、アルミニウムと他の材料(例えば、鉄や樹脂)を接合する方法で、部品の機能性を向上させます。

今後の展望

アルミ鋳物自動車部品の技術は、今後も以下の方向に進化していくと予想されます。

  • さらなる軽量化、高強度化: 新しい合金や複合材料の開発、鋳造技術の進化、接合技術の高度化により、自動車部品のさらなる軽量化と高強度化が実現されるでしょう。
  • 電動化、自動運転に対応した部品開発: 電気自動車や自動運転車の普及に伴い、バッテリーケース、モーターハウジング、センサー部品など、新たな部品の開発が求められます。アルミ鋳物技術は、これらの部品の軽量化・高強度化に貢献すると期待されます。
  • 環境負荷低減に向けた取り組み: アルミ鋳物製造工程におけるエネルギー消費量の削減や、リサイクル技術の開発など、環境負荷低減に向けた取り組みが加速するでしょう。

これらの技術開発動向を踏まえ、大和軽金属では、ベトナム生産によるコストダウン、日本式経営管理による高品質、ベトナム国内での現地調達といった強みを活かし、自動車産業のニーズに応える高品質なアルミ鋳物部品を提供していきます。

アルミ鋳物自動車部品の製造メーカー

主要メーカーの紹介

アルミ鋳物自動車部品の製造メーカーは、国内外に多数存在します。以下に、代表的なメーカーとその強み、得意分野、主要取引先を紹介します。

アルコア (Alcoa):

アメリカの大手アルミニウムメーカーであり、航空宇宙、自動車、包装など幅広い産業向けにアルミニウム製品を提供しています。自動車分野では、高強度アルミ合金の開発や、ダイカスト技術、接合技術などに強みを持っています。フォード、GM、トヨタなどが主要取引先です。

リンデン (Lynden):

カナダの自動車部品メーカーであり、ダイカスト部品に特化した事業を展開しています。エンジンブロック、トランスミッションケース、シャーシ部品など、幅広い製品を提供しており、北米の自動車メーカーを中心に取引があります。

UACJ:

日本のアルミニウム圧延・加工メーカーであり、自動車、航空機、電子機器など幅広い分野向けにアルミニウム製品を提供しています。自動車分野では、熱交換器材や構造材などに強みを持っており、日本の自動車メーカーを中心に取引があります。

Ahresty:

日本のダイカストメーカーであり、自動車部品、二輪車部品、産業機械部品など幅広い製品を提供しています。高品質なダイカスト製品の製造技術に強みがあり、国内外の自動車メーカーと取引があります。

メーカーの貢献事例

アルミ鋳物部品メーカーは、自動車の軽量化、高強度化、環境負荷低減に貢献するため、様々な技術開発や取り組みを行っています。

軽量化、高強度化に貢献する技術開発事例:

  • 高強度アルミ合金の開発: 従来のアルミ合金よりも強度を高めた合金を開発することで、部品の軽量化を可能にしています。
  • ダイカスト技術の進化: より複雑な形状の部品を製造できるダイカスト技術を開発することで、部品の軽量化や機能性向上に貢献しています。
  • 接合技術の開発: アルミニウムと他の材料を接合する技術を開発することで、部品の強度向上や多様な機能付与を可能にしています。

環境負荷低減に貢献する取り組み事例:

  • リサイクル材の活用: アルミニウムのリサイクル材を積極的に活用することで、資源の有効活用やCO2排出量削減に貢献しています。
  • 製造工程における環境負荷低減: 製造工程におけるエネルギー消費量の削減や、廃棄物量の削減など、環境負荷低減に向けた取り組みを推進しています。

これらの技術開発や取り組みを通して、アルミ鋳物部品メーカーは、自動車産業の発展に大きく貢献しています。

まとめ

自動車の燃費向上、CO2排出量削減、運動性能向上には、アルミ鋳物自動車部品の軽量化・高強度化が不可欠です。トヨタ自動車、フォードなどの自動車メーカーは、アルミ鋳物を積極的に採用し、軽量化・高強度化による様々なメリットを享受しています。

高強度合金の開発、鋳造技術の進化、接合技術の高度化など、アルミ鋳物技術は常に進化を続けています。今後も、さらなる軽量化・高強度化、電動化・自動運転への対応、環境負荷低減といった課題解決に貢献していくでしょう。

アルミ鋳物は、自動車産業の持続的な発展を支える重要な素材として、その可能性をさらに広げていきます。

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